【建築家双六】既存の建築教育について思うことをぼやく
こんにちは
現在修論に追われている彼方だ
先日以下のようなツイートをしました。
ただ1つのルートしか示されていない事が、どこか閉塞感を生み出している気がする。
— 旅するデザイナーとマフラー (@traveler_kavata) 2020年1月15日
一度は建築に魅了された学生が、自分と建築のうまい関係性を見出せるようにすることが良い教育なのではないかと思う
この呟きの背景には「建築家双六」なる言葉がきっかけとしてあります。
この言葉、建築意匠に関わる人なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
建築家双六って何?
「建築家双六」とは、一般に建築家と呼ばれる人物になるための手順を示した言葉です
知人の住宅の設計
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それが建築雑誌等のメディアで取り上げらる
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集合住宅やオフィスと設計するものの規模が徐々に大きくなる
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最終的には美術館といった公共施設を手掛けたらゴール
台中歌劇院を手掛けた伊東豊雄さんや、新国立競技場を手掛けた隈研吾さんなどがこの例に該当します。
そんな「建築家双六」ですが、現在そんなルートを歩むことは決してできないと多くの建築家が口をそろえて言います。理由は簡単で、人口減少かつ資産も減少する中で、そもそも個人住宅やら公共施設をどんどんと建てていくという時代ではなくなっているからです。「スター建築家の建てた家に住みたい!」という人を対象に、自分の作風を全面に押し出す建築を設計し、その設計物によって顧客を獲得するというサイクルはもう不可能なのです。
建築家双六ep 0
さて世間一般で言われている「建築家双六」は、建築家として独立し始めてからの流れを指すことが多いです。しかしよく考えてみるとそれ以前、学生の時から同様の流れがあるのではないかと、現在学生の私は感じます。
仮にその流れを「建築家双六ep 0」と表現してみます。
建築家双六ep 0 (学生時代~独立前まで)はこんな感じ
設計課題で良い成績を収める
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有名建築家が審査員をつとめるコンペに入賞
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卒業設計で良い成績をおさめ、学内/学外で入賞
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有名建築家の設計事務所で数年馬車馬のように働く
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独立したらゴール
既存の「建築家双六」が終わりを迎える一方、そのルートにのることを見越してつくられた「建築家双六ep 0」はどうでしょうか。今現在建築を学ぶものとして、あまり時代の変化に対応しきれていないのではないか?と個人的には感じています。
特に「設計課題を頑張り、建築家に認められて賞をもらう」、この部分が依然建築教育に根付いているのがまずいと私は感じています。
詳しく説明していきましょう。
私が思う既存の建築教育の問題点
建築学科では建物がどうやって建つかを学ぶ構造や、音や光について学ぶ設備、どういった建築が過去に存在したかを学ぶ歴史、また自分で建物を設計してみる設計製図などの授業を通じて、建築に対する幅広い知識を蓄えていくことを目的としています。
しかし、多くの学生が自分で建物を設計してみる設計製図の授業に時間をとられ、その他授業を疎かにしているのが実態ではないでしょうか?
それもそのはずで、そもそも建築を志すような人達は多かれ少なかれ「自分の家を自分でデザインしてみたい!」「何かデザインしてみたい!」という動機をもっているので、せっかく自分で設計できる授業があるのだから、そこに力を入れるのは当然。
また大学側も著名な建築家を呼び、学生達の設計物を講評、よくできたものに賞を与えたり、卒業設計展等を大体的に開催したりして、「設計」という行為を持ち上げます
「設計」は建築学科の花形であり、あたかも「建築」は設計が最も重要だと学生に叩き込むのです。
さてそのような状況だと何が起こるのか?
「設計」に対し興味が失せた学生は、「建築=設計」だと思い込んでしまい、行き場を失ってしまうのです。
私は今まで建築を嫌いになった人を多く見てきました。「建築家の言っていることが理解できない」「講評は結局建築家の好き嫌いじゃん」etc....
一方で一部の建築設計を好む学生は先輩建築家の言説を読み、憧れ、スター建築家を目指します。しかしその先思い描いていた「建築家双六」を歩むことはもうできないというのは前に述べた通り。
変化が激しいこの時代、本来なら自分達で建築との関わりを見つけ、自分でルートを作っていく必要があるのにも関わらず、権威が大きすぎて、既存の双六に乗るか降りるかしかないかのように感じてしまう教育が依然として残っている
現在進行形で学生をしている私はそう思えてなりません。
私自身もどうやって建築と関わっていくか依然と掴めていませんが、自分なりに新たな関わりを模索し、このブログでその軌跡を綴っていけたらと思います。
解決策や結論もなく、問題提起だけとなってしまいましたが、今回はこの辺で。
最後まで読んでいただきありがとうございました!