お客さまにしかなれない少女
人は誰しも居場所を求めたがる。
高校を卒業して数年が経った。
高校のときはなぜか同級生よりも後輩のほうが仲が良く、というよりも後輩としか仲良くなく在学中はずっと後輩達に自分1人が混じるという構図で生活していた。
卒業後も会ったりしていたが、同じ時間・空間を過ごしていないという壁は大きい。
自分が卒業して、先輩がいないと寂しいとは言われつつも、いなくても学校は廻っていく。
いつまでもその寂しさをもっていることはなく、新しい世界をつくりつづける。
自分はお客様にしかなれなかった。
大学に入ってサークル活動や学科など今様々なコミュニティに属している。
どこのグループでも行けば話す人はいるし一緒にご飯を食べる、遊びに行く人もいる。
しかしふと、自分はそのコミュニティにきちんとは入れているのだろうかと不安になる。
サークルは学科が忙しいのでフルに参加するでもなく、学科では授業の履修方法等が周りと比べとにかく特殊なので、真にその学科の学生であると自信をもって言えない。
コミュニティの数は多いが、そのコミュニティにどっぷり浸かれない。
何年か経って
私の帰ることのできる居場所はあるのか。
絵の中の彼女は賑やかな世界を見つめる
その世界は光輝いていてまぶしい
彼女にはその世界は眩しすぎる
私はお客様にしかなれない