「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」を読んだ
モノをとにかく捨てようという話かと思いきや、どうすれば幸せに生きられるかというお話だった。
モノが全くない部屋でまるで修行僧みたいな生活をしているミニマリスト達による、ミニマリストに至るまでの過程とミニマリストになっていかに幸せになったかを解説している本。
モノを捨てる方法がつらつらと300ページにわたって書かれているのかと思いきや、そうでもなく人生を幸せに生きる方法について書かれていた。
ミニマリストについて自分が今まで勘違いしていたことは、彼らは別にモノを捨てたり、持たないことが好きというわけではなくて、それが彼らにとって幸せになる方法だからモノを捨てているということだった。
“ミニマリズムは目的ではなく手段である。”
と本の中でも書かれている。
なんか色々考えるきっかけになった本なのでこの本を読んでみて、共感できたこと、これは違うと思ったこと、感じたことをつらつらーっとまとめてみる。
モノとは物質的なことなのか
何もない部屋に机とパソコンだけ
本の中で紹介されたミニマリスト達の部屋はこんな感じ。
テレビもなければ本もない。どうしているのかと言うとPCの中に全て入っているらしい。本はスキャンし紙媒体は処分、映画などはネットで購入、現代のIT技術をふんだんに使ってるらしい。
でもこれって普通の人と何が違うんだろうと思ってしまった。彼らがモノを捨てるのはモノがあるとそこに時間や脳のキャパを割かなくてはならず、本当に必要なことが埋もれてしまうということらしいのだけど、物質的なモノがデータ上のモノに置き換わっただけでそれってそんなに変わるのだろうか。
まぁ視界がうるさくなるとか掃除が面倒くさいとか色々あるだろうけどそんなことって微々たるものじゃないかと思ってしまう。
以前スマホを壊して実感したことだけど、必要なモノが埋もれてしまう原因は物質的なモノの量ではなく、単純な情報量なんじゃないかと思う。
たしかに物質的なモノの量が減れば情報量も減るけど、スマホ等の電子媒体を減らさない限り情報量はそう減らないんじゃないかな....
モノの量は減ったけど、スマホやPCに集中的に依存する結果になってしまっているような気がしてならない....
モノに支配されるのは誰のせいか
大量のモノに埋もれていくなかで、人はいつしか道具としてのモノに逆に支配されるようになってしまったと作者は言う。
確かにその通りだとも思ったが、それですぐモノを断捨離してしまうのはどうかと思う。
言い換えれば、作者はモノとの関係性を考えることを最初から放棄してしまっているのではないか。
モノがなければそこに関係性は生まれないので、確かに楽だろう。でもそこに関係性を見出し、どうやって付き合っていくかを考えるのが人とモノなのではないか。
作者は以前モノにあふれた生活をしていたようで、モノと嫌になるくらい付き合って出した結論がモノをもたない生活=ミニマリズムなのでまぁいい。でもそれを考えずただモノを捨てればいいという考えの人がでてきてしまうと問題である。
別にこの本が悪いわけではないけれど、この本を読んだ人が勘違いして、モノとの関係性をちゃんと考えるというステップをすっ飛ばしてミニマリストにならないことを願うばかり.....
シンプルの弊害?
作者はミニマリストになり、好きな子に想いを伝える勇気が出て告白し付き合えたらしい。結局その後振られてしまったらしいが、それについて作者はミニマリズムが徹底していなかったせいだと反省している。
本当にそうなのかな?
この本を読んでいて、どうも作者はミニマリズムということに括り過ぎているような気がする。なんというか考え方までミニマルになっているというか.....
あらゆる出来事には原因があるけどその原因が一つとは限らない。というか一つなんてことは滅多にないと思うのだけど....
何かと最近シンプルな思考やシンプルなプロセスetcシンプルが流行っているような気がするけど、シンプルな思考をしていくプロセスのなか人は大事なものを見捨ていっているような気がする。
シンプルすぎるのも考えものだなぁと。
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書いていくとなんか異論しかでてこなかった........けど共感できた部分もいっぱい。
飽きのくだりとか、幸せとか。
なんにせよもう一度モノとの関係や生活を考えるきっかけをくれる良書だった。